心理学基礎用語:心の状態・症状編一覧
うつ病
■うつ病
<depression>
ストレスの多い現代社会の中で現代病の一つとされているのがこのうつ病。
20人に1人が「うつ」にかかっているといわれている。まじめで責任感の強い、几帳面、仕事熱心な人がうつ病になりやすいとよいわれている。
そのような人が、ストレスの多い環境や急な生活環境の変化などにうまく対応できず、病気になるとも考えられている。
うつ病の症状は多様で次のような症状がある。
▼睡眠障害
夜中にも何度も目が覚める、熟睡できない、朝早く目が覚めるなど
▼身体症状
体がだるい、食欲低下、頭痛など
▼気分・感情の障害
気分が憂うつ、悲しい、不安でたまらないなど
▼意欲の障害
物事におっくうになる、興味、関心がなくなる、喜びを感じなくなるなど
▼行動障害
動作が鈍くなる、身の回りのことができなくなる、自殺企図など
▼その他の障害
悲観的になる、自分を責める、自分がダメな人間に思えるなど
原因は、脳の機能障害や、ストレスや環境要因などがある。
うつ病は脳内の神経遺伝物質の働きが悪くなることから起こる疾患で、決して気持ちの持ち方や精神論で治るものではなく、的確な服薬などが必要。
強迫性障害
■強迫性障害
<obsessive-compulsive dissorder>
嫌な思考、心的イメージ、言葉などが何度も繰り返して意識にのぼり、それらを認めながらも、気にすまいとすればするほどますます強い不安や嫌な思いを伴う状態に陥る。
このような繰り返し意識にのぼる観念を「強迫観念」といい、それを払拭するために儀式的な行為(強迫行為)をする。
たとえば、ヒマさえあれば手を洗う、鍵をかけたかどうか何回も確かめる、本をアイウエオ順に並べる、ある物がしかるべき所にないとき、きっちりとなおすなどといった行為を指し、これらの行為で不安感は軽減されるが、この行為自体が苦痛になる。
いずれも本人が自覚しているという点で、精神病とは区別される。
アメリカでは人口の2%に見られるともいわれていて、生活に支障ををきたさなければ、珍しい症状ではない。
心的外傷後ストレス障害:PTSD
■心的外傷後ストレス障害:PTSD
<post traumatic stress disorder>
傷害や虐待、レイプや交通事故の被害者、殺人者の遺族、自然災害の被災者などの体験が原因となって現れる精神的後遺症。
自身などの天災、交通事故、レイプや児童虐待といった、自らの処理能力を超えるような強烈な体験をした場合、心はその体験から自らを守るために、嫌な記憶を冷凍してしまう機能を持つ。
とりあえず、忘れ去られた記憶は時間の経過とともに変化することなく眠っている。しかし、時間が経過した後に、何らかの理由で冷凍されていた記憶が解けた場合、非常に生々しいかたちで心の中に戻ってくる。
症状は、激しい恐怖感や無力感、悪夢やフラッシュバックによる過去と同じ出来事の再体験、感情が萎縮することによる極度のうつ状態、睡眠障害、易怒性、集中困難、過度の警戒心・驚愕反応・生理反応など。
主な治療法としては、グループ心理療法があげられる。
同じ事件の被害者、同じ境遇の経験者がグループになってその体験を語り合い、自分の症状を客観的に見ることができるよう訓練する。
フラッシュバックがPTSDの疾患による現象だと認識し、その症状に悩んでいるのは自分だけではなく、またそれが特殊なことでもないということを知ることで、孤独感が軽減する。
性同性一障害
■性同性一障害
<gender identity dissorder>
オス・メスのような生物学的概念としての性(セックス)に対し、社会や文化の中で後天的に獲得してゆく性を「ジェンダー」という。
本人が自分のジェンダーに確信が持てなかったり、反対の性に同一感を持ったりする場合を、性同一性障害という。
埼玉医科大学で性転換手術が行われてから、一般にも知られるようになったが、必ずしも正しく理解されているとは言えない。
多くは幼少の頃から症状を呈し、小児期は男児が人形遊びを好んだり、女児が荒々しい遊びに興じたりする。
思春期に表れる性同一性障害は自分の性に不適切感を持ち、異なる性(同一感を持つ性)の服装をする人もいる。同性愛とは区別されている。
摂食障害(拒食症・過食症)
■摂食障害(拒食症・過食症)
<eating disorder>
体重や体型へのこだわりや、精神的な理由から、食べることに何らかの障害があること。
若い女性に多く見られるが、小学生や主婦、男性など年齢や性別を問わずだれでもなりうる病気といえる。
摂食障害の中で、有名なのは拒食症と過食症。
拒食症は、精神的なストレスやダイエットから食事量が減り極端にやせていく。拒食症が続くと、過食や嘔吐が現れてくることも。
過食症は、拒食症と同じように精神的なストレスやダイエットをきっかけとして、大量に食べてしまい、自責の念にかられて吐いたり下剤を使用したりして体重増加を防ぐこともある。
この2つの症状は関連性が深く、ほとんどの摂食障害患者が療法を経験し、多くの場合拒食と過食を繰り返す。
チック
■チック
<tic>
身体の特定の筋肉郡に生じる不随意的。自動的で急速な反復運動反応であり、神経性習癖の一種である。
チックの生じる部位はさまざまで、代表的には、まばたき、ほほや口、鼻の回りをピクピクさせる、足踏みなどの身体運動性チェックがある。
さらに、シャックリ、咳、奇声などの呼吸性のチックもある。脳に器質的な問題がある器質性チックと、心理的な問題がある心因性チックがある。
ストレスや不安などの心理的緊張によって悪化するので、くつろいだり何かの活動へ没頭したりすることによって軽減する。
パニック障害
■パニック障害
<panic disorder>
さまざまなストレスなどの心理的要因が主な原因とされており、突然、心拍数が上がり全身が緊張して冷汗をかき、気が遠くなる状態に陥る。
自分はこのまま気が狂ってしまうのではないか、死んでしまうのではないかという恐怖に陥る。
とくに発作が多く見られるのは電車などの乗り物の中で、また発作が起こるのではないかという恐怖(予期不安)で、電車に乗れなくなったり、一度発作が起きた場所へは行けなくなったりすることがある。
パニック障害は、かつては「心臓神経症」や「不安神経症」と呼ばれていたが、1980年に「病名を『パニック障害』に統一する」と、世界的な取り決めが行われた。
アメリカでは100人に3にんの割合で発症しており、日本でもほぼ同率の患者がいると考えられている。
今後、パニック障害に対する認識と理解が深まってくれば、患者数はさらに多くなると考えられている。
微笑みうつ病
■微笑みうつ病
サラリーマンの職場環境が依然厳しいことを映すように、増加傾向にあるのが「微笑うつ病」という、うつ病の一種の心の病。
午前中はボーっとして集中できず、午後からは頑張って働く。話しかけると、ニコニコと異様に愛想が良く、元気そうにふるまうが、実はそれは苦しくうつな状態を周囲に隠そうとする行為である。
このような状況が続いた場合、蒸発や自殺という最悪の結果を招くことにもなりかねない。
寝起きが悪い、食欲不振、眠れない、午前中集中しないなどの前ぶれがあったら、専門医の診断を受けることが大切。
神経症
■神経症
心理学で扱う心の病気は、薬を使わない方法、つまり精神医学とは異なります。
一般的にカウンセリングの対象にされる神経症は、不安神経症や強迫神経症などです。
「不安」という感情は人間誰しもが持っている要素ですが、不安神経症の場合、必要以上に不安を感じてしまい、ひどくなるとパニック障害の状態に陥ったりします。
強迫神経症では、あることをしていないと、「落ち着かない」「いても立ってもいられない」状態に陥ります。
たとえば、何回手を洗ってもきれいになったと思えない、ガスの元栓を閉めたか気になって、何度も確認するなど。。。
それが2回、3回であれば強迫神経症とは言いませんが、100回も繰り返せば強迫神経症です。
精神病と違う点は、妄想や幻聴、幻覚、重度のうつ病にみられる極度の食欲不振や不眠症などの症状はなく、ごく普通の人にもありがちな部分が、拡大されていると考えられています。
そうした症状の場合は、投薬による治療ではなく、カウンセリングで認知や行動を少し変えてあげることでよくなるのではないかということです。
トラウマ
■トラウマ
<trauma>
トラウマとは、ふだん体験しないような恐ろしい体験により、心に生じた深い傷による後遺障害のことをいいます。
1970年代に起こったベトナム戦争の帰還兵が、戦場での悲惨な体験により神経症にかかり、それが心に悪い影響を及ぼすといわれたのがトラウマの概念の元になっています。
戦場の体験は、「感情鈍麻」「過覚醒」を生みだし、日頃は仕事もできない無気力状態にもかかわらず、ちょっとした物音などに過敏に反応するという症状をもたらせました。これがトラウマによる『戦争後遺症』です。
トラウマは、戦争後遺症ばかりではなく、レイプ被害者についてもベトナム戦争の帰還兵と同じように、ちょっとしたキッカケでフラッシュバックなどの症状が出るといわれています。
その後の研究では、戦争やレイプだけではなく、災害の被害者や誘拐事件の被害者などにも同様の症状が出ることが確認され、アメリカ精神医学界の診断基準DSM-IIIで、はじめてPTSD:心的外傷後ストレス障害という診断名がつきました。
